ランデヴー

光と脳のインタラクション

森 公一|真下武久|堀 翔太|精山明敏
Koichi Mori, Takehisa Mashimo, Syota Hori & Akitoshi Seiyama
京都芸術センター 3F ミーティングルーム2
2014年10月30日|木|–11月6日|木|
10:00–20:00|入場無料、会期中無休

新しい光の体験へ

本展覧会では,光の変化と鑑賞者の脳波が
インタラクティヴに関係する観客参加型の
作品《rendezvous》を公開します。

作品《rendezvous》では, 二人の鑑賞者に
参加いただき, 両者の目前に広がる色彩の
変化と音響の変化を鑑賞いただきます。
鑑賞者の頭部には脳波測定装置を装着し,
刻々と変化する脳波パターンの変化を測定します。
それぞれの脳波パターンから, 快・不快情動
の判定を行い, 比較的強い快情動が得られた
場合, その時に提示している色や音を
継続させます。一方, 快情動が弱くなった
際には, PCによって色と音のバリエーションを
ランダムに選択し, 再び快情動が確認される
まで提示し続けます。こうして各鑑賞者
にとって最も快適な色と音の組み合わせが
選択され, 持続することになります。
しかし, 実際は二名同時に体験することから,
片方の鑑賞者は他方の鑑賞者が提示している
色や音の影響も受けることになります。
そのことによって, 参加する二名が共同しながら,
両者にとって快適な光と音が選択され,
提示されることになるのです。すなわち
作品《rendezvous》は, 二つの脳が恊働して
創りだす光体験の場と言えるでしょう。

人間の脳は外部からの感覚的な刺激を受けて,
あるいは他者の存在を契機に, 快・不快情動が
生起するとともに, それらは刻々と変化し
続けています。それは不快な状況を避け,
快適な状況を得るためのモニタリングシステム
であり, 人間の生存に関わる根源的なメカニズム
なのです。また最近のニューロサイエンスの
知見によれば, 情動は知性と完全に区別できる
ものではなく, むしろ知的な活動の礎であり,
両者は強くリンクしていることも明らかに
されつつあります。

作品《rendezvous》は, このような私たちの
生と密接に関わりのある情動について,
芸術(メディアアート)と科学(ニューロサイエンス)の
出会いを通じて探ろうとする試みです。
古い脳(情動脳)と関わりが強い芸術的営為,
新しい脳(知性脳)と関わりの深い科学的知見,
両者が出会い融合することは,
人間理解のためのもう一つの方法ではないかと
考えます。本展覧会では,人と人の出会い,
情動と知性の出会い, 芸術と科学の出会いなど,
多層的なランデヴーによって新しい光の体験を
実現したいと考えます。
主催:ランデヴー・プロジェクト
共催:京都芸術センター
協力:岩城 覚久、大村 大悟、榧本 佳子、米田 江利、佐久川 長久、佐野 耕平、
   吹田 哲二郎、津上 理奈、二瓶 晃、信ヶ原 良和、福田 真知、松谷 容作、安原 好美
   
助成:平成24 年度 科学研究補助金 基盤研究(C)
  「鑑賞者の情動反応に基づくメディアアート表現の可能性の探求」

京都芸術センター
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 〒604-8156 Tel. 075-213-1000
http://www.kac.or.jp